Mokha
華やかなアロマと酸味が際立つモカは、上品な酸味、豊かなコク、ほのかな甘味、そして、モカフレーバーと呼ばれる特有のフルーティーな甘い香りが特徴です。
甘酸っぱい香気がすばらしい酸味系コーヒーの代表格です。栽培地では現在でも自生する野生の木が数多く存在し、複数の在来種によって、最も古くからある銘柄です。
移植は昔から自然のサイクル任せで、「マタリ」「ハラー」「シダモ」等、栽培地区によって在来種の構成が少し違うため、ひとくちにモカといっても味わいは微妙に異なります。
多くのモカは乾燥式の精製方法で、手摘みした果実を天日で干した後、十分に乾燥した果肉を石臼等を使って脱穀します。非水洗式の精製は、天候などによって出来具合が左右されやすく、しかも昔ながらの精製方法で、栽培もほぼ自然農法のため、見た目の良い豆ばかりではなく、ちょっと気難しいコーヒーですが、他にはない独特な香味が多くの人々を魅了しています。
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- モカは通称で「モカ種」と表記されていることもありますが、単一の品種ではなく、複数の在来種による銘柄を指します。原生のため限定は不可能で、先祖伝来の在来種が数多く残っています。
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- モカの名前の由来は、かつてイエメンにあった港町で、モカ港からはアフリカ大陸のイエメン産コーヒーだけでなく、紅海を挟んだ対岸にある、アラビア半島のエチオピア産コーヒーも輸出されており、それらを総称してモカと呼んでいました。
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- コーヒーの木の発祥地と有力視されているのは、モカ港からコーヒーを輸出していたエチオピアとイエメンです。
エチオピアでは、コーヒーの実を食べて元気に駆けるヤギを、ヤギ飼いの少年が見て修道院の僧侶に告げたことがはじまりと伝えられています。
他方、イエメンでは王女に恋したことで追放された寺院の弟子が、コーヒーの実を食べて元気に歌う小鳥を見て、コーヒーのスープを作って病人を救った、という言い伝えがあります。(こちらのエピーソードは『コーヒールンバ』という歌詞でも有名ですね)
月日は流れて、17世紀。オランダ商船がモカ港に立ち寄って、アラビア商人から買ったコーヒーを母国に持ち帰ったことで、瞬く間にコーヒーはヨーロッパを熱狂させ、さらに世界へと広がりました。コーヒーを飲む習慣がなかったヨーロッパで、モカはコーヒーの代名詞となり、今でもコーヒー味の食べ物にモカを冠するのは、この名残かもしれません。