コーヒーの木はアカネ科に属する多年生の常緑樹です。コーヒー豆はサヤに入った豆ではなく、実は種子で、サクランボのような赤い実(コーヒーチェリー)の中に、銀皮(シルバースキン)と内果皮(パーチメント)に包まれて2つずつ向き合って入っています。5〜10%くらいの確率ですが、ピーベリーと呼ばれる1つだけ種子が入っているものがあり、それだけを選別したコーヒーも希少品として流通しています。(正確にいうと、2つのうち片方のみが成長した種子)
ちなみに、イエメンではギシルという、コーヒー豆の果肉(皮殻)を煎じて、砂糖と、ジンジャーやカルダモンなどのスパイスを入れたものが飲まれているそうです。
コーヒーの木は耐寒性がないため、赤道を挟んだ北緯25度から南緯25度、「コーヒーベルト」と呼ばれるエリアの、約60カ国で栽培されています。コーヒーベルトよりも北緯にある日本の沖縄でも屋外での栽培に成功していますが、収穫量は少なくとても貴重です。
現在、そのコーヒーベルトで栽培され、飲み物用として経済流通しているのは、「アラビカ種」「カネフォラ種(ロブスタ種とも呼ぶ)」「リベリカ種」の3原種です。(ただしリベリカ種はほとんど流通していません)
近年では、アラビカ種とカネフォラ種の交配が可能になり、ハイブリッド種と呼ばれる新しい品種も数多く栽培されはじめています。
アラビカ種
生産量の約65%を占める。エチオピア原産。味、香りとも優れているが、乾燥や霜、病気、害虫に弱い。涼しく、水はけのよい肥沃な土壌を好み、熱帯高地で栽培されることが多い。
カネフォラ種(ロブスタ)
生産量の約35%を占める。アフリカ原産。乾燥には弱いが、土壌の適応範囲が広く、病気に強い。酸味が少なく、独特な苦味が強い。インスタントコーヒーや缶コーヒー、ブレンドに使われることが多い。
リベリカ種
ほとんど生産されていない。西アフリカ原産。病気、害虫に弱いが、高温多湿に強い。大木に育つ割に収穫量が少なく、主にヨーロッパ向けに輸出、または自国で消費されている。特に苦味が強い。
〈参考文献〉